おうちでMVS(業務用ネオジオ)を遊ぼう!【自宅で遊ぶアーケードゲーム】

以下の記事は2004年当時に私がやっていたHP「がらくた文書工房」に掲載していた記事です。

記事内容は若干加筆修正しておりますが、基本的に当時のままですので現在の事情に合わない部分もあるかもしれませんが、紹介している機材などは現在でも入手可能ですので興味のある方は参考になさって下さいませ。


アーケードのあの格闘ゲームがそのまんまお手元に!


 ゲームが好きな方であれば「ネオジオ」というゲーム機はご存知かと思います。「アーケード(ゲームセンター)と同じゲームが家庭でも楽しめる!」というのを最大の売り文句に今は亡きSNKが放った当時としては価格もスペックも図体の大きさもまさしく「超弩級」の家庭用ゲーム機でした。一般的には「格闘ゲームだけしか無ぇよ」と思われていて、格闘ゲームが一大ムーブメントであった時期には勢いがあったのですがブームの終焉とともに次第にその勢いも衰えていきました。

 ちょっと複雑なのですが、「ネオジオ」という名前はそのゲームシステム自体というか、アーキテクチャそのものを指しています。一般販売され家庭で使われているものを「家庭用ネオジオ」(普通に「ネオジオ」と呼ばれているものがこれ)、アーケードで業務用として使われているネオジオシステムを「MVS(マルチビデオシステム)」と呼びます。両ハード向けに作られたゲームが「ネオジオ用ゲーム」という訳です。

 両者のアーキテクチャは全く同じものですが、互換性はありません。装置自体の作りも違いますし、ゲームはROMカセットで供給されますが、カセットの形状も家庭用とMVSは違うので差し込めません。が、中に納められているソフトはほぼ同じものです。ソフトウエア自体は稼働に使われるハードが家庭用かMVSかを判断してアーケードか家庭用かどちらかのモードで動作するように作られています。「アーケードと全く同じゲームが家庭で」というのはこういう事なのです。

 家庭用のネオジオは現在もコアなファンが多く、元々の定価も高かったので中古店やオークション等でも価格は高めです。またゲームによっては販売本数が非常に少なかったものも多くあり、中古店やオークション等でもプレミア価格で取引されています。が、業務用MVSの場合は全国でかなりのMVSが稼働していた事もあり(よく駄菓子屋や本屋の軒先やスーパーの休憩フロア等にも設置されていました)、それなりの本数がでている上に本来中古ユースが確立されているわけでも無いので、安いものだと一本500円位からあります。家庭用でプレミアが付いているソフトも数千円で入手できます。本格的にネオジオで遊ぶつもりならこれは見逃せないと思います。初期投資は少々必要ですがネオジオゲームを数多く楽しむには家庭用を集めるのに比べればすぐに元は取れると思います。

ここでは業務用MVSを家庭で遊ぶ一例を紹介します。


1,まず最低限必要な物を揃えよう!。

 以下の機材は普通の中古ゲーム屋さんでは扱っていません。アーケード用中古基板を一般販売しているお店で購入します(通称「基板屋さん」と呼ばれる)。秋葉原などの電気街を中心にネット上でもいくつか通販をしてくれるところがあります。今回は秋葉原の老舗、株式会社トライさんの通販で揃えました。質問にも丁寧に応対してくれるショップさんです。価格は販売店によっても違いますし、在庫状況によっても変動しますので購入前には電話で問い合わせた方が良いでしょう。

(1)MVS基板

まず当然ですがこれが必要です。

大きさの大小や機能の違い、一度に挿せるカセットの本数などでいくつかの種類があるのですが、今回はわりと標準的なMV-1FSという基板をチョイスしてみました。

カセット1本挿し、ステレオ出力可能、BIOS-ROMがEP-ROMでソケットタイプ(デバッグネオジオ化するのに楽)、家庭用ネオジオのコントローラも使用可能です。

ただ、家庭用とデータをやりとりできるメモリーカードを使うための基板が使用できませんが、メモリーカードを有効に使ったゲームはほとんど無いのであまり問題はないと思います。今回購入価格は取扱説明書付きで7,000円でした。


MV-1FS基板です。

MVS基板にもいくつか種類がありますが、一番機能的にバランスが取れている基板だと思います。初期のゲームから末期の大容量のゲームまで安定して動作するようです。ただ、MVSのカセット1本挿し基板の中ではサイズは大きめです。


BIOS-ROMです。純正は東芝製EP-ROMです。ソケット式で簡単に差し替えが出来るようになっています。


家庭用コントローラを1P側、2P側の2つ挿せるコネクタです。

家庭用コントローラに慣れている方はこちらを使うのがよろしいですが、家庭用コントローラには、アーケード基板の操作には欠かせないコインスイッチ(コインを何枚入れたかを設定するスイッチ)とスタートスイッチ(ゲームスタートボタン。家庭用コントローラのスタートボタンは機能しません)がありません。あくまで後述するコントロールボックスとコントローラー(あるいは配線の途中にコインとスタートのスイッチを取り付ける)が必要になります。


外部スピーカーとヘッドホンを接続することが出来る端子です。ステレオで出力されており、アンプ回路を通って出てきていますので、特に大音量を出さない限りアンプを繋ぐ必要はありません。JAMMAハーネスを通しての出力はモノラルですので、コントロールボックスで家庭用テレビに繋ぐ場合は音声はモノラルとなります。ステレオで聴きたい場合はここにステレオスピーカーを繋ぎますが、JAMMAハーネス側のスピーカー配線(10番とk番)を取り外す必要があります。(同時に使えない)


ヘッドホンと外部スピーカーの音量は基板上のスライドボリュームで調整できるようになっています。


(2)コントロールボックス


MVS基板に電源を供給する。基板からの画像・音声信号を家庭用テレビ(ビデオ端子やS端子等)に繋げる様に変換する。コントローラーの信号を基板に伝える。等の機能を持つ物です。今回はこの分野で定評があり、耐久性等も評判のよいシグマ電子製のAV-7000を選びました。

ビデオケーブル、ACコード、電圧調整用ドライバー、コントローラ用コード1本(もう1本あれば2個のコントローラーを接続可能)、取り扱い説明書付きです。しかしシグマのコントロールボックスはいつもデザインがなんか今ひとつだなぁと思います。

これがあると後々機材を揃える事でMVS以外のゲーム基板も遊ぶことが出来るようになります。

今回のAV-7000よりコントローラー等の端子が変更されており、以前のAV-6000用等のコントローラーはそのままでは使えませんのでオークション等でバラで揃える時はご注意を。今回は26,000円で入手。


前面です。青い端子の部分にハーネスを繋ぎます。結構本体重量はあります。


上面です。左から音声のステレオ・モノラル切り替え(ネオジオの場合はどちらでもモノラルです)。ヘッドホン端子(同じくネオジオの場合はモノラル)。RGB端子の有るモニターに繋ぐためのRGB端子(専用ケーブル使用)。CBCというトリマは通常調整する必要は無いです。そして通常のビデオ端子でテレビに繋ぐための端子(専用ケーブルを使用)があります。


左側にはコントローラ端子が2つとモニターの明るさ調整のツマミがあります。


右側には電源スイッチとコントロールボックスから供給される+5Vの電圧を調整するトリマーが付いています。


(3)コントローラー


ジョイスティック型コントローラーです。

コントロールボックスAV-7000用のコントローラー、同じくシグマ電子製の9000TBです。連射機能付き6ボタン対応です。

2人で対戦する場合はもう1つ必要です。(接続コードも必要)

今回、シグマ電子製にしたのはやはりお店の方が他にもメーカーはあるのだけれど、作りや耐久性を考えるとシグマ製が定評もありお奨めはします、との事でした。確かに作りはしっかりしています。ただ、価格も他社に比べると結構高いので割り切って他社製品をチョイスするのも手かと思います。

今回はMVS基板を家庭用ネオジオのコントローラーが使えるものにしたので、コントローラーは買わずに配線の途中にコインやスタートスイッチを自作で配線して家庭用コントローラーで遊ぶという方法も採れますが、わかりずらくなるのでここでは割愛します。そんなことも出来るという事で。今回は13,800円で入手。


(3-1)コントローラ一体型ボックスもあります。


ちなみにコントロールボックスとコントローラーが一体化したものもあります。写真はシグマ電子の雷神Ⅲです。これ1台で2人対戦も出来ます。定価35,490円。バラで買うよりかなりオトクですが、おそらく先にコントローラ部分が壊れるでしょうけど、その場合修理がきかなかったらコントロールボックスも一緒に無くなるということになります。大きさもかなり大きいです。(この画像はネット上のWikiページよりお借りしました。すみません。まぁカタログということでお許しくださいませ)


(4)JAMMAハーネス


ゲーム基板とコントロールボックスを繋ぐ配線を「ハーネス」といいます。

MVSの場合は基本的にJAMMA(日本アミューズメントマシン工業協会)で決められた規格に準処してますので「JAMMAハーネス」というものを使います。ただ、JAMMA規格はコントローラー3ボタンの仕様ですが、ネオジオはコントローラーが4ボタンなので、コネクターの空き端子の25番とa番に4番目ボタン用の配線を施した「ネオジオ仕様」のものを使います。コネクタと線材さえあれば自分でも作れますが、コントロールボックス側のコネクタがコントロールボックスのメーカーによって違ったりするので基板屋さんで「シグマのコントロールボックスに使うネオジオ用○○㎝」と告げて完成品を購入する方がお手軽です。今回はトライさんで30㎝のものを3,000円で購入しましたが、50㎝くらいあると取り回しが楽です。余談ですが、カプコンのCP2/CP3基板の格闘ゲーム等6ボタンを使うゲームでは更に「キック線」と呼ばれる配線を追加しないと遊べません。また、麻雀ゲームを遊ぶ場合は「麻雀ハーネス」という専用のものを使います。


(5)MVSカセット


ゲームカセットです。「MVS」の表記のあるものを使います。家庭用のネオジオカセットは使えません(形状も違う)。基板屋さんでは大体カセットの他にはアーケード筐体に取り付けるプラスチック看板(写真左下)やインスト(インストラクチャーカードの略)と呼ばれる簡単なゲーム内容と操作説明の紙(同右下)、ゲームの初期設定(コンティニュー回数や画面表現等をディップスイッチで設定する)のための取扱説明書、その他格闘ゲームの場合は長細い「技表」が付いています。家庭用のような詳細な説明書はありませんが、これはアーケードゲームは自分でプレイしながら隠し要素を見つけてってねってニュアンスなので当然といえば当然です。これらが無いと価格は安くなりますが操作などすべてを自分で見つける事になります。また、純正の本物が汚損などで無くなっていてかわりにカラーコピーで添付されて売られている場合もあります。今回は人気の高い「メタルスラッグ」をチョイス。家庭用カートリッジは10万円以上というプレミア価格が付いていますが、今回のMVSは8,000円で入手。これぞMVSのメリットです。


2,接続して動かしてみよう!


今回購入した基板には足(レスロックと言う)が付いていませんでした。机の上にベタッと基板を置くのはちょっとアレなんで、電気パーツ屋さんでプリント基板用のスペーサーを買ってきて足として取り付けました。レスロックは販売店によって最初から付けてくれてたり、別売のお店もあります。今回購入したトライさんでは最初からは付けてないそうですが、必要な本数を購入時に言っていただければお付けしますとの事でした。(だからと言って100本とか言わないように(^^;。今回は後日6本ほど送っていただきました)

上の写真がそのレスロックです。


スペーサーを取り付けたついでに今回は気分でアクリル板を加工して底板としてつけてみました。アクリルは静電気が起こるのでどうかとも思われるでしょうが、このへんは私の単なる気分なのであまり気になされませんように。

コントロールボックス側のコネクタを差し込みます。切り欠きがつけてあり表裏間違えないようになってます。


基板側のコネクタを差し込みます。JAMMAコネクタには「部品面」というシールと「ハンダ面」というシールが貼ってありますので、かならず間違えないように挿してください。「部品面」のシールの方をいろんな部品が付いている面に向くように付けます。間違えると基板を破壊します。簡単に逆方向に付きますのでこの確認はクセをつけて必ず行うようにしましょう。


コントロールボックスから出ている+5Vの電圧が正しく出ているかどうか確認します。これが狂っていると安定動作しません。ただ、シグマ電子の取説には「あらかじめ調整してあるので触らないでください」と書いてあるので新規購入の場合は特に調整する必要は無いでしょう。

中古購入の場合は一応確かめた方が無難です。テスターを持って無いと確認出来ませんが・・。

余談ですがまだアナログテスター使ってんの?とか言われそう(笑)


+5Vが狂っている場合は付属のドライバーで電源スイッチ横のトリマーを回して調整します。


コントローラーとコントロールボックスを繋ぎ、コントロールボックスと家庭用テレビを繋いで配線は終わりです。

全体の配線を再度確認したらゲームカセットを差し込みます。サブ基板を支えてきちんと取り付けましょう。


スタート画面が出たらOKです。


ゲームが始まれば全てOKです。思う存分MVSの世界を楽しんでください。


 どうでしたか?最初の説明がだらだら長いので難しいんじゃないかと思ったかも知れませんが、実際の作業はたったこれだけです。MVSは値もこなれてきて格闘ゲーム好きなら思いっきり遊び倒せると思います。また、格闘はどうも・・なんて方でもネオジオには本数こそ少ないですがクイズやパズル、麻雀、シューティングなどもありますのでこれらを楽しんでみてもおもしろいのではないでしょうか?。最近は実機では無くパソコン上でエミュレーターで遊ぶというのが主流になってきていますが、実機こそがやはり本物だなぁという気持ちが個人的にはあります。ぜひお手軽なMVSからまずはアーケードゲーム基板の世界に触れてみてください。ハマっても責任持てませんけど。
(2004年10月記・2012年3月一部加筆修正)

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