【雑誌】コンプティーク狂騒曲(2013年10月号)

 今大人気のオンライン・ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」(通称:艦これ)って知ってますか?


(画像を勝手にお借りしてますが著作権はDMM.comさんと角川ゲームズさんにあります)

 簡単に説明すると、旧日本海軍の艦艇を育て指揮して戦線を進んでいく「艦隊育成シミュレーションゲーム」なのですが、大きな特徴は「艦艇が女の子に擬人化されている」事です。

 プレイヤーは艦隊を指揮する「提督」となり、ゲームを進めながら擬人化された艦艇(艦娘:かんむす)を集め、育て、その艦隊を率いてゲーム中の敵である「深海棲艦」と戦い進んで行きます。

 と、こう書くと「なんだよ、軟派な萌えゲーかよ」と思われるでしょうが、確かに集め育てた艦娘を愛でるという萌え要素もありますが、ゲーム自体の造りはバラエティーに富んだ海戦ステージや詳細なパラメータ設定、艦隊編成パターンなど戦略要素をかなり要求される本格的海戦シミュレーションです。

 ブラウザゲームなのでパソコンとネット環境さえあれば簡単に始められますし、基本無料なので(有料オプションもありそれでゲームが有利になる事はありますが、無料だから勝てないとかお金を払わないとここから先はプレイさせないなどのあからさまな課金はありません)財布に優しく進めることも出来る造りになってます。

 この「艦隊これくしょん」、今年(2013年)4月にサービスインして以来大人気となり9月現在で登録ユーザーは80万人を越えています。

 面白いんでこれ見て少しでも興味湧いた人はぜひやってみて下さいね。

 今回はそんな大人気ゲームにまつわる外野の騒動のお話です。


 80年代からあり、今も生き残っているパソコンゲーム誌のひとつに角川書店が発行している「コンプティーク」という雑誌があります。ここ最近はスマホやケータイのソーシャルゲームが大人気でパソコンゲームは下火だった事もあり、近年ではあまり売れている雑誌とは言えず、私の住んでる山口県の田舎の書店でも「毎月2~3冊棚に並んでるのを見かけるけどそんなに印象にも残らず、次の号が出るまで売れ残っている」といった感のある雑誌です。いわば書店に十把一絡げで並んでいる雑誌のひとつと思って頂ければ良いかと思います。公称発行部数は6万部ほどだそうですので実売部数は3万部弱といったところではないかと思います。

 その「コンプティーク」の2013年10月号に「艦隊これくしょん」の84ページにも及ぶ別冊付録が付くことが告知され、発売前から一部で話題になってました。実は「艦隊これくしょん」はその時点で公式に出ている総合ガイドブック的なモノは存在しておらず、プレイヤーは手探りでプレイしつつネット上でのコミュニティやまとめWikiなどで情報交換しながらプレイを進めていたわけで、雑誌の付録と言えどプレイヤー(提督)が熱望していた公式としては初めてのボリュームたっぷりの本(しかもイラストレーター書き下ろしイラストや艦娘の一覧付き)なわけで、私なんかも一応「提督」の端くれですから発売前から「これはいつもの号よりはかなり売れるんじゃ無いかな」くらいは思っていました。

 さらにこの号には「艦隊これくしょん」以外にも、TYPE-MOONの人気ゲームである「Fate」のオリジナルドラマCDも付録に付くことになっており、なおいっそう普段より売れるであろう要素がありました。

 なので私も「発売日には早急に買いに行こう」くらいは考えていました。いつものこの雑誌の売れ方から考えてもそれで十分だろうと思っていました。それがまさかあんな事になるなんて誰が想像したでしょうか。でも今考えればAmazonなどのネット書店では軒並み予約完売だったことをもう少し重要視してれば良かったのかも知れませんが…。


 2013年9月10日、「コンプティーク」10月号の発売日。

 早朝から仕事に入っていた私が異変に気づいたのは10時の休憩の時でした。スマホでTwitterを見ていたら、ある写真が目に入りました。多くのオタクっぽい人たちが整然と行列している写真、そしてそれに付いている「秋葉原なう。コンプティークを求めて開店前から多くの提督たちが行列形成中」というツィート。売れるだろう、とは思っていました。でもまさかこんな事になるとはとても想像できなかったので、最初は「これは何か別の行列でお騒がせネタの捏造ツィートだろう」と思ったくらいでした。ところが僅か数分の間にその手のツィートがどんどん多くなり、異常事態が起き始めている事に気づきました。そしてそれは秋葉原だけでなく東京および関東周辺の地域全体で起こっていることが時間の経過と共に明らかになっていきました。

 一般書店では在庫は瞬殺、都内では圧倒的な在庫を仕入れているであろう神保町の「書泉グランデ」「書泉ブックマート」、秋葉原の「書泉ブックタワー」そして比較的この手の雑誌を潤沢に仕入れているであろう都内各所の「アニメイト」や「ゲーマーズ」「メロンブックス」などのオタク系ショップの混乱ぶりや完売情報などのツィートが乱れ飛び「買えた」「買えない」の阿鼻叫喚ツィートがあちこちで発信されていました。

 「提督」と呼ばれる「艦隊これくしょん」プレイヤー全国に80万人、実際のアクティブプレーヤーがその3分の2,さらにその半数が首都圏在住だったとしても、25万人くらい。そのうちの相当な割合の人数がわずか全国で4万部前後の発行部数の雑誌を求めて殺到したわけですから騒ぎが起きてしかりなわけです。

 その状況に気づきつつも休憩時間の終わった私は仕事に戻りました。次の休憩は13時~。仕事をこなしつつ頭の3分の1くらいでこの後どう行動しようか考えていました。


 「これは少部数しか回ってこない地方で手に入れるのは至難の業だな」と感じた私は13時の休憩に入ってから東京(練馬在住)の友人に確保をお願いしてみようと電話をかけました。返ってきたのはある程度予想した答えでした。「缶ちゃん、ダメだよ。オレも外せない用事があって開店の10時に行けなくて、11時に池袋に行ったんだけど、メイトもゲマズもメロンも、あと行ける範囲の大小書店を回ったけど1冊も残って無くて手に入んないよ。もう歩き疲れちゃってさぁ。」Twitterでの騒ぎは本物でした。友人には友人の都合があるので無理強いは出来ません。こうなると自分でなんとかするしかありません。

 「わかった、じゃあこっちで何とかしてみるよ。」

 実は雑誌というのは地方によって発売日にタイムラグがあって、私の住んでる山口県では現在でも週刊誌・月刊誌共に首都圏より1日遅れの発売となります。これが海を渡って九州になると実に2日遅れの発売となるわけです。

 そして東京で起こったことは必ず地方に波及してきます。インターネットどころかパソコン通信も無かった頃は数日のタイムラグの後に山口県あたりにも波及してきていました。そしてこれは私の経験上の感覚なのですがネットの発達した現在でもまだ2~3時間のタイムラグがあります。秋葉原の主要店舗は10時開店。すでに3時間が経過しています。となると今すぐ動くしかありません。明日は多分こちらでも大騒ぎになります。明日動いたんじゃ遅いんです。

 そして仕事場にいる以上、使える手段は電話しかありません。幸いその時、時間に追われる早急な仕事が無かった私は上司に「すみません、ちゃんと仕事は終わらせますし、その分居残りもしますので20分ほど私用電話をさせてください。」と許可を求めました。幸い上司は「ああいいよ」と快諾してくれました。さあ、戦いの始まりです。


 地方でも恐らく勘のいい人はすでに動いています。一刻の猶予もありません。私はとりあえず近隣の書店を思いつく限りリストアップして全部の電話番号を調べました。こういう時だけはスマホって便利ね。普段あまりスマホでネットとかしないけど。そして普通の人が「本屋」と言われてすぐに思いつく専業の大型書店は後回しにして、どちらかというと「ああ、そういえばあそこは確か本も置いてたなあ」くらいの感覚の店舗(例えばTUTAYAなんかは地方だと「レンタル屋さん」という感覚が強くて「書店」という感覚が薄い)を最優先に電話をかけ始めました。要は「取り置き予約」をお願いするわけです。ただ、この騒動になっていますのですでに何件も問い合わせが入ってきていればすでに入荷する冊数を押さえられているか、もしくは取り置きを断られるか…。とにかく聞いてみるしかありません。 


 結果4軒電話したところで3冊の取り置きをしてもらうことが出来ました。幸いまだ間に合ったようで比較的苦労せず確保が出来ました。いつもの月の売れ方から大体の想像はついていましたが、どこの店も2冊程度しか入荷は無く、しかも「さっき取り置きの予約が入ったのであと1冊だけなら取り置きできます」といった答えでした。うち1軒は「もう予約で完売してしまいました」という答えでした。やはりすぐに確保に動いた勘のいい人は結構いたようでした。私が欲しかったのは先の友人の分も合わせて2冊だったのですが、なぜ3冊確保したかというと、良くある話なのですがアルバイト店員の引き継ぎが出来てなくて「あ、すみません。取り置きの分間違って売っちゃいました」ってのが良くあったりするので万一を考えて3冊確保したのでした。この状態であれば余れば身近な欲しい人に回せば良いわけですから。

 そして先の友人に確保出来た旨の電話を入れて安心して仕事に戻りました。これで明日ガソリン代使って何件も回る徒労をしなくて済みます…。

 帰宅してTwitterを見てみるとやはり夜の時点ではすでにこの騒動は全国に知れ渡っていたのですが、不思議なことに「こっちは田舎だから仕事帰りでも余裕」みたいなツィートしてる人があまりにも多いのです。今時の人は「どうしても確実に手に入れたいモノなら自分のできる限りの行動をなるだけ迅速にして万難を排して入手の段取りに奔走する」ってこと、しないんですかね?。私以外にもすでに動いている人いるから多分開店を待つまでも無く「予約完売」であろう事は想像に難くないのですが…。


 案の定、翌日Twitter上には悲鳴のようなツィートが並びました。さらにそれに乗じて「どこそこには余裕で平積み」などとどう考えてもあり得ない情報を流して右往左往する人が出るのを面白がる悪質なツィートまで多数現れて相当な混乱状態でした。私はそんな中、普通に仕事が終わって取り置き分を引き取りに行き無事に入手できましたが、お店で出して貰ったとき隣にいた人にガン見されました。おそらくあの人も買い損ねた「提督さん」だったのでしょう。ごめんね。

 でもTwitter上では買えなかった怒りか、私のように取り置きを手配した人間を犯罪者のようにボロクソにこき下ろすツィートを相当な数見ましたが、そんな事言われるいわれはありません。こちらがお店に「取り置きできますか?」と聞いてお店が「よろしいですよ」と了解してくれた時点でそれは正当な商取引であって犯罪じゃありません。こういう状況では申し訳ないけど早く動くに越したことは無いんですよ。私だって情報つかむのが遅く入手し損ねたモノ、過去に結構ありますもん。

 その他には「艦これ」と関係なく「Fate」のファンや付録に関係なく毎号買っていて今回この騒動のアオリで買えなかった人の恨み節のツィートも多く見ました。その人達の論調がみんな【「艦これ」のせいで…】っていう言い分で、それに同調した人が何百人もリツィートしていて。でもそれも言われるいわれはありません。あなたたちだってどうしても欲しい付録が付いた雑誌なら普段買わない雑誌でも必死こいて手に入れるでしょ?って事です。責められるべきは売れ行きを予想できずに十分な発行部数を用意しなかった角川書店であって「艦これ」ファンに言うのは筋違いってもんです。


 とはいえ、これじゃマズいってんで翌日11日、角川書店は「コンプティーク10月号」の増刷を発表して事は一応一段落しました。雑誌の増刷なんて異例中の異例ですよ。ただ、実際には翌月10月の10日くらいに増刷分が配本されるようで(この記事を書いている間に第一次の増刷分は9月26日から販売が開始されると発表されました)、その頃には「艦これ」の方は「公式ガイドブック」がムックとして発売され、それにはおそらく今回の別冊付録の内容の殆どは収録されると思うので、その時には何も「艦これ」ファンはコンプティークを買わなくても良いでしょうから、これでやっと「提督」以外の普通の読者にも行き渡ると思います。

 …だけど、今度はTwitter見てると「増刷決まったからこれで安心」とか…。あのね、増刷って本来の発行部数と同じだけ潤沢に刷るわけないでしょう。売れ残るほど刷るわけないじゃん。あんたたち少しは頭使って考えなよ。かと思えば「地元の本屋では何冊入荷するかわからないからと言って予約を断られた」とかの泣き言もいっぱい。そりゃそうだ、本屋さんだって増刷が決まったその日に何冊自分の店で確保が可能かなんてわかるわけがないです。そんな状態の中、「アニメイト」や「ゲーマーズ」のオンラインショップでは時間を区切ってちょこちょこ「予約受付→締め切り」を繰り返してたので、見かねて受け付け開始を見つけたときに「#コンプティーク」のタグを付けて「今現在どこそこのオンラインショップで予約受け付けてるよ、急いで!」ってツィートしてみても大して反応無し。何なの?欲しいんじゃ無いの?欲しいけどそんなに送料払うの嫌なの?もう知らないよ。ホントにTwitterで文句ばっかりたれてる人は相手するだけ疲れる…。ちったぁ行動しなよ。


 そんな私もまだやらなければならない事がありました。3冊確保したうち、1冊は自分のもの、1冊はその場で前述の東京の友人に向けて発送しました。結果手元に1冊残っています。周りに聞いてみましたが、私の周りに「艦これ」をやっている「提督」はいませんでした。となるとこれは欲している誰かの元に行くのが一番良いのですが、オークションなんかで売ったら転売屋と一緒になってしまいます。

 考えたあげく、これは誰かこの本を欲しがっている「提督さん」に渡したい。ちゃんと定価で。手元に余らせること自体が犯罪に等しい。じゃあどうやって?


 とりあえずTwitterのツイートを検索して近隣で買えなかったとツィートしてる人の中から誰かに譲る事にしました。その中で一番長距離を探し回ったとツィートしてた人を見つけて、とりあえずその人の他のツィートを見てみましたら、別に荒ぶったヘンなツィートも無く真面目そうな人だったので、その人に向けて「まだ捜しておられるようならお譲りしたいのですが…」とリプしてみました。当然疑われるだろうから、このブログをみていただければ私の人物は判断できるだろうと書き添えて。結果、このブログを見て「2006年からやってるブログだからわざわざ騙しでこんな手の込んだことしないだろうから話だけは聞いてみるか」と思ってくれたみたいで、無事返事がいただけたのでお互いの中間地点にある人目のあるショッピングセンターで落ち合うことにしました。それなら相手も安心してくれると思ったので。

 現れた人は予想通り真面目な好青年でした。雑誌を確認して貰うと騙しでは無かったことにホッとしてくれたようで、とても喜んでくれました。こちらも希望どおりこの本を欲しがっている「提督さん」の手に渡すことが出来てホッとしました。余分に確保した罪滅ぼしは何とか出来たようです。その後少し「艦これ」の事を含め雑談をしたあとお別れしました。


 今回は1冊の本を巡っていろんな事がありました。私も長年いわゆるオタク系の趣味をやってますので、入手競争の経験は何度もありますけど、結局手に入るかどうかはそのブツに縁があるかどうかなんですよね。縁が無いときはホントにどう行動しても裏目裏目に出て手に入らない事もしばしばです。でもだからと言って諦めたり悠長に構えてたりしては絶対に手に入りませんからできる限りの手は尽くします。それで手に入らなかったら潔く縁が無いものとして諦めて他の事にお金を使うようにしています。だってさ、手に入れたいばかりに卑怯な裏技使ったりとかまでしたらなんだかバチが当たりそうじゃん。別に神様信じてるわけでも無いし古い感覚なのかもしれないけどさ(笑)

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