FN1242Aを使ってRaspberry Pi直結DACを作る【その3】

【電源部の製作】

今回は自作なのでちょっと贅沢に用途によってそれぞれの系統をトランスを使ったシリーズ安定化電源で用意することにしました。

多分にオーバースペックなのですが。

必要な電源は

①アナログ+12V(オペアンプ用)

②アナログ-12V(オペアンプ用)

③アナログ+5V(アナログ回路用)

④デジタル+5V(Raspberry Pi用電源)

⑤デジタル+3.3V(FN1242Aデジタル部用電源及びMCK GEN-B基板用電源)

の計5系統。トランスは12V2回路トロイダル1個とEIトランス2個のトリプルトランスです。

回路図はこちらです。(クリックすると拡大します)


12V電源に付けているダイオードは電源OFF時の逆流防止なのですが、負荷側のコンデンサー容量が平滑用のコンデンサーより大きい場合は必要ですが、今回は無くても大丈夫だとは思います。また、三端子レギュレーターに付ける0.1uFのコンデンサーも発振防止のおまじないみたいなものなんだそうで、メーカー製の回路だと真っ先に省略されるらしくて、確かにオーディオ製品の中を開けてみてもあまり付けられてる事は無いのですが、今回はデータシートに倣って律儀に付けました。GNDはアナログ・デジタル別々としました。

使った部品は表の通りですが、一部手持ちの部品を使ったり、ついでに多めに頼んだ部品もありますので全てではありません。

また、ユニバーサル基板は手元にあったものを使いました。手頃な大きさが貧乏人御用達の紙フェノールしかなかったのでそれを使いましたが、もうちょっと良いのを使えば良かったなと後悔してます。表の購入先が空欄のモノは全て秋月電子での購入です。(秋月で探して無ければ他で…という良くある選び方です)

一通り組み上がったものがこちら。


細かく作る実装技術が無いのでかなり余裕持ってスカスカに作ってますけどそれがご愛敬と言う事で。

ここで3カ所ほど問題点がありました。

一つはトランス。ラズパイはそんなに消費電流多くないだろうと思って最初デジタルトランスには0.5Aを用意したのですが、実際には約0.4~0.5Aくらい消費することがわかって、そうなるとMCK GEN-B基板と合わせるとギリギリになります。

なので1Aのトランスを新たに用意しました。デジタル側にはこれを使います。

2つめはその1Aのトランスですが、最初6Vのタップを使っていたのですが、ラズパイの起動時に結構電力を消費するようで、レギュレーター通過後の出力電圧が5Vを少し下回るとラズパイが起動に失敗することがありました。

なので8Vのタップを使うことに。

3つめは8Vのタップにした為に損失が大きくなって5Vの三端子レギュレーターに付けたTO-220パッケージと同じくらいの大きさのヒートシンクだと放熱が間に合わずキンキンに熱くなってしまうので、大きなヒートシンクに交換しました。

以上の点が設計時に至らなかったところでした。


配線は何度も入念に確認しましたが、100Vを使う電源基板なので最初のスイッチオンは緊張します。とりあえずヒューズ+ブレーカーを噛ませて最悪部屋のブレーカーごとズドンというのを避ける処置をしてスイッチオン。テスト中は絶対に100Vの配線には触れないように。(写真はまだ大きなヒートシンクに付け替える前です)


無事規定の電圧が出ました。一安心。とりあえずケースの検討も兼ねて板の上に仮配置ですが、電源基板は無事完成です。

次はいよいよFN1242Aを使ったDAC基板を作ります。

FN1242Aを使ってRaspberry Pi直結DACを作る【その2】

【まずはI2Sの動作確認とマスタークロックの問題解決】

さて、DACを自作する前に自分のラズパイのI2S周りがちゃんと動作してるのかを確認するためにキットのDACを組み立ててそれで確認することにしました。

使うキットは「お気楽オーディオキット資料館」(http://easyaudiokit.hobby-web.net/)で頒布されているDACキットです。

自作オーディオ界隈では「藤原さんのとこ」でお馴染みのサイトですね。

こちらでテキサス・インストゥルメンツ社のDACチップPCM5102を使った「DAC51X2 MINI for Raspberry Pi TYPE B 基板」のキットを購入してまずは組み立て&音出しです。


基板と主要部品がセットになったキットです。周辺部品は好みのモノを自分で揃えるようになっています。組み立て説明書はサイトからダウンロードします。


隣の綿棒と比較してもらうとPCM5102の大きさがわかりますが、年々加齢と共に老眼が出てきて(笑)このようなフラットパッケージICの足の細かいハンダ付けが難しくなってきました。隣の足とショートしてないか念入りにテスターで調べます。


特に難しい所も無いのでさくっと組み上がり。電解コンデンサーはちょっと贅沢にニチコンのMUZE KZをおごりましたが、フィルムコンデンサは秋月で普通に売ってたモノを使いましたのでオーディオ的な評判は判らず。この辺のチグハグさが私の性格というか…。


ラズパイに取り付けるとこうなります。電源はラズパイから供給されます。

SDカードにvolumioをインストールし、出力をI2Sに設定します。(解説しているサイトはたくさんあるので省略します。)


アンプを繋ぐ前にオシロスコープで出力をチェック。音楽データ(FLAC)を再生してみるときちんと音声出力らしきものが出ていることを確認。しかし、そろそろアナログ20MHzの古いオシロではキツい場面も出てきました。古いも何も「ケンウッド」になる前の「トリオ」の時代のオシロなんで(笑)


アンプを繋いでみるとかなりいい音で鳴っています。とりあえずはラズパイのI2S周りが正常な事が確認できました。しばし音楽鑑賞。最終目的を忘れてこれだけでもう十分じゃんとか思ってしまいます。


次に、FN1242Aでは必須となるマスタークロック(MCK)の問題を解決しなくてはなりません。

一般的にI2Sはマスタークロック(MCK)を持つマスターモードで使用されることが殆どで、DACの多くは動作時にこのマスタークロック(MCK)を必要とします。FN1242Aも例外ではありません。

そこで使用される信号線は4本。

①マスタークロック(MCK)

②ビットクロック(BCK)

③ワードクロック(LRCK)

④データ(DATA)

これに対してラズパイのI2S出力はマスタークロック(MCK)を持たないスレーブモードと呼ばれるモノで

①ビットクロック(BCK)

②ワードクロック(LRCK)

③データ(DATA)

の3つです。

この方式に対応したDACは少ないのですが、上で製作したPCM5102はチップ内部でこのマスタークロック(MCK)を生成する機能を持っていますので、細工すること無くラズパイと直結することが出来ます。

マスタークロック(MCK)はサンプリング周波数を整数倍することで生成することが出来ます。ビットクロック(BCK)はサンプリング周波数を整数倍(64倍)したものです。つまりビットクロック(BCK)があればそれを逓倍することによってマスタークロック(MCK)の生成が可能です。

FN1242AでラズパイのI2S直結DACを作ろうとするとこのマスタークロック(MCK)生成基板が必要となります。

「水晶発振子とICS570B(クロック逓倍器)を使ってそこから作るか」と思っていたらすでに前述の「お気楽オーディオキット資料館」さんでもう便利の良い基板が作られていたのでそれを利用することにしました。


「お気楽オーディオキット資料館」さんで頒布されている「MCK GEN-B」基板です。写真は組み立て後です。サンプリング周波数に応じて逓倍率をジャンパーピンで設定しますが、オプションのPICマイコンを積めばサンプリング周波数ごとに逓倍率を自動で切り替えることが出来る優れものです。

FN1242Aの場合、データシートを見てみるととりあえずサンプリング周波数が32KHzから192KHzまでとにかく192fs(サンプリング周波数の192倍という意味)をマスタークロック(MCK)に入力しておけば大丈夫なのですが、将来作るかどうかはさておいて他のDACを繋ぐ場合でもこれがあると便利なのでマイコン付きで組み立てました。

動作確認ですが、ここで問題発生。


私の古いオシロではスイープ時間の最小が5μsなのでビットクロック(BCK)はなんとか表示できても…。


マスタークロック(MCK)はとりあえずなんか正確そうな波形が出ているかなぁレベルでしか表示が出来ません。これで良しとしてもよいのですが今ひとつ納得が…。


ちょっと予算オーバーなのですが、良い機会なのでデジタルオシロスコープを買いました。OWON(中国メーカー)の30MHzの2現象。秋月で3万円ちょっとだったのと、ホビーレベルでは全く過不足無しという評判だったので。テクトロとかだと廉価品でも6万近いので躊躇してましたが、なんとかこの値段なら手が届きます。本当はオーディオに使うのなら100MHz位のを買った方が良いのですが、今まで20MHzで困ったこと無かった位の使い方なのでこれで良いかと。


サンプリング周波数96.0KHz(ハイレゾ音源)に対して…


ビットクロック(BCK)がその64倍の6.144MHz。

マスタークロック(MCK)は96KHz時にビットクロック(BCK)×2の設定にしてあるので12.288MHz。



ワードクロックとデータクロックも出力されていることを確認。

CD音源(サンプリング周波数44.1KHz)の時は写真撮り忘れてしまいました(^^;。

とりあえず正常に動いているようなのでマスタークロック(MCK)の問題はこれで解決です。

キット代金以外の周辺部品は以下の通りです。(秋月電子で購入)

この他にピンヘッダは手持ちのモノを使いました。

次回は電源部の製作です。

FN1242Aを使ってRaspberry Pi直結DACを作る【その1】

まず最初にお断りしておきますが、FN1242Aはもう現在では入手困難なので「遅せーよ」とか言われそうですけど(^^;


事の始まりは7年も前のこと、そして更に1年半も前の事です。

2008年、当時の私はいつかDAC(デジタルーアナログコンバータ)を自作してみたいと考えていました。

ちょうどその頃、秋月電子で売られていたあるDACチップが話題になっていました。

新潟精密のDACチップ「FN1242A」がそれです。

2001年頃に開発されたDACチップとしては珍しい国産の石で、DVDオーディオやSACD(DSD)対応の1ビット方式のDACです。24ビット8倍オーバーサンプリング、フルーエンシ型データ補間フィルタ搭載という特徴のあるDACでサンプリング周波数192KHzまで対応しており当時はメーカー製DACの中級~上級機の一部に採用されたりしていました。

しかし新潟精密はその後倒産し(現在の新潟精密は再生後の実質別会社)、その際にFN1242Aの在庫が大量に秋月電子に流れ、1個800円というDACチップとしては破格の値段で売られていた為、自作ファンの間で話題になっていたのです。

その頃に私は将来DACの自作に挑戦してみようと思って2個ほど手に入れました。その後、自作マニアの間でこのFN1242Aを「8個パラで使って~」等が流行だし、一部で買い占めも行われて2014年1月、秋月電子の在庫も尽きて現在では入手不可となっています。

私はDACを何個もパラって使うようなモノまでは作る気も無いしそこまでの技術も無いので1個普通に使うようなDACを作ってみたいと思っていたわけです。



しかしその後DACを作ることもなく、古いカセットデッキの修理などをしてオーディオを楽しんでいた私ですが、時代的なモノもあり2013年後半から徐々にPCオーディオ、デジタルオーディオに軸足を移すようになっていきました。そして2013年10月、当時「オーディオ再生にも使える」と評判になっていた超小型ボードパソコン「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ:通称ラズパイ)を入手しました。(私が買っていたのは当時の主力であるMODEL B)。単三乾電池を横に並べてみましたが、こんなにちっちゃいです。

「Raspberry Pi」は途上国のパソコン教育などにも使えるようにと安価に開発された最小限の、でも十分教育用としては実用となる機能を備えたボード型のパソコンで、これがいろんなホビーユースにも使え、しかも実売5,000円程度と安価なことからPC、自作界隈でかなりなブームになっていました。

オーディオ的にはLinuxディストリビュートのひとつであるRaspy Fi(当時。現在のVolumio)を使用してハイレゾ再生環境を構築する事がブームになっていました。とはいえ、この非力なラズパイでどこまで実用になるのか半信半疑だったので、しばらく放置プレイとなっておりました。

その後、Raspy Fiは進化して「volumio」というディストリビューションとなり、格段に使いやすくなったと言う事で遅ればせながらまずは手持ちのUSB-DACを繋いで音出ししてみました。その時もうすでにラズパイも進化して次世代のTYPE B+となっており(更にこの記事を書いている現時点ではRaspberry Pi2」が発売されています)、完全に時代遅れではあったのですが…。


ピンク色のはラズパイが入ってきたケースでこのまま簡易ケースとして使えます。スマホの充電器を電源にLANとHDMIを繋げて、DACは手持ちの「FX-AUDIO DAC-X5J」(早い話が中華DAC)を使ってみました。すると、心配していた音切れも無く非常にいい音で鳴ってくれました。ここのところはずっとVoyage MPDで音楽を聴いてましたがそれと遜色無い音。

さらに調べていくうちにラズパイにはオーディオ専用のシリアル通信インターフェースであるI2S信号の出力機能があることを知りました。I2Sで繋げられるDACやDDCがあればラズパイと直結でほとんどロス無くPCMデータを送ることが出来ます。

ここで、私は遙か昔に買っていたFN1242Aを思い出しました。DAC自作のまたとない機会です。「そうだ、FN1242Aを使ってラズパイ直結DACを作ってみよう。そしてそれをケースに組み込んでネットワークプレーヤーを作ろう。」そう思ったのは昨年(2014年)の暮れでした。もう時代に置いてきぼりも甚だしいほど遅いんですが(笑)。


ここで白状致しますと、私はジャンクの修理やキットの組み立て・改造などはしますが、自分で一から回路図を引いて「設計」から自作をしたことはありません。なので今回が完全自作デビューとなります。(工業高校レベルですがそれなりの電気知識はあります。)

とても熟練者ほど凝った自作は出来ませんがなんとか頑張って作ってみよう、と思い立ちました。

しかしながら、もし回路図が致命的に間違っていた場合など危険な結果になる事も予想されます。そこで、ネット上ではもう10年近くのお付き合いになります「高速化事業部」(

http://www.ne.jp/asahi/kousoku-web/hp/)の管理人、りょうさんに相談してみたところ、「あくまで私の自作を尊重して、回路図を書き換えるのでは無く致命的な間違いが無いかどうかだけをチェックする添削という立場」で快く協力していただけることになりました。これで鬼に金棒です。


ということで次回から自作レポートをしてみたいと思います。果たしてスマートに完成までこぎ着けられるんでしょうか。とにかく頑張ります!。

NFJ TA2020-20 デジタルアンプキット2号機の製作

以前組み立てたノースフラットジャパンのTA2020-20を使用したデジタルアンプキットの2号機を作ってみました。

ここのところの円安でキットの値段は980円から1,180円に上がってしまいましたが、それでもこの手のキットとしては爆安です。

以前組み立てた1号機。


キットにオプションの5V独立給電化キット(50円)だけを追加して組んだだけのものでしたが、デジタルアンプ特有の解像感のあるクリアな音でこのキットの素性の良さが十分判るものでした。

今回はもう少しいろんな部品を変更してどう変わるのか試してみたいと思いました。


今回追加・変更した部品は以下の通り。ネット上ではもっと派手な改造例がいっぱいありますが、基本外装ケースを以前と同じ100均ケースに収まる程度の変更に留めました。また価格を安く、というテーマもあって、NFJで用意されている別売のオプションやバラ売り部品を使用することにしました。

1.TOKO防磁インダクタ 11RHBP 22μH 4個 (390円)

2.5V独立給電化キット (60円)

3.3pin 2.00mmピッチ PHコネクタ+強化ケーブル (100円)

4.DALE製 MiLスペック抵抗アップグレードキット (290円)

5.6Ω向けコンデンサアップグレードキット (390円)

6.ERO製MKC1862ポリカーボネートフィルムコンデンサ 100V0.22μF 2個セット(280円)

7.パナソニックFC 16V2,200μF 電解コンデンサ低ESR品 (120円)

8.WIMAメタライズドポリエステルフィルムコンデンサ100V1μF 2本組 (250円)

9.フェライトビーズインダクタ(アキャシャル型)10本セット (140円)

10.SANYO電源平滑コンデンサアップグレードキット 16V2,200μF (140円)

11.NFJ TA2020キット最終版専用ベースアップグレードキット/オマケ付き (160円)



上がほぼキット素組みの1号機。下が今回の2号機です。インダクタを高性能なモノに変え、入力カップリングコンをWIMAに、電源平滑コンを大きくして終段のコンデンサ周りを6Ωのスピーカー仕様に、あとベースアップグレードキットはノイズ減目的のコモンモードチョークコイル等に加えてTA2020の保護回路周りを正常動作させるための部品のセットです。



ベースアップグレードキットの実装は小さなチップタイプの積層セラミックコンデンサの半田付けや3カ所ほどジャンパー線を飛ばさなければいけないなど多少工作難易度が上がってます。


DC漏れの確認後、いつものようにジャンクスピーカーに繋いで音出し確認。


最終的には100均ケースに収めました。今回は電源スイッチを前面に持ってきました。良い感じでピッタリ収まりました。

音の傾向は結構変わりまして、更に解像感が増して高音の伸びが改善、定位感も増したように思います。電源平滑コンを大きくしたお陰か多少ピーキーな感じが取れたようにも感じます。この後エージングでどう変わっていくか楽しみです。

もう1セットキットがあるので、また違った改造・変更を施してみようと思います。

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Author:缶コーラ
山口県在住。ローカルなネタを含めて
何でもアリで書いていきたいと思います。

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